両側膝蓋骨内方脱臼 グレード2に対する外科手術

犬と猫の整形外科病院 院長の赤木です。

今回は両側膝蓋骨内方脱臼グレード2と診断した、ボストンテリアさんの症例をご紹介致します。オーナー様は内覧会にもご来院して頂いた方で、とても熱心にお話を聞いて下さいました。

膝蓋骨内方脱臼はパテラ、MPL(Medial Patella Luxation)と呼ばれたりしています。

パテラというのは正確には病気の名前ではなく、膝蓋骨(膝のお皿の骨)自体の事を示します。
パテラというのが馴染みもあって分かりやすいのですが、混乱を避けるためにここでは膝蓋骨内方脱臼のことをMPLと表記します。

MPLは非常にありふれた疾患のため多くの情報が溢れていて、オーナー様も判断に迷うことが多いと思います。一般病院の動物病院の先生からも一体何が正しいのか分からないとご相談を受けたり、その流れでご紹介を頂くケースが少なくありません。

MPLはそもそも手術が必要な病気なのか、いつ手術をするのか、手術をしなかったらどうなるのか、手術をしたらどうなるのか、気になることは沢山あると思います。

MPLについては当院のHPに概略を記載させて頂いているので、こちらを参考にして頂ければと思います。それぞれの症例によって、手術を勧めるのか、そうではないのか、治療指針は様々です。

当院では検査を行った場合は概ね2〜3万円の費用がかかりますが、パテラの”お話だけ”を聞きたいということであれば、初診料の3500円と相談料の3000円でお話だけすることも可能です。

今回のボストンテリアさんはグレード2でしたが、活動性も高く、体格相応に体重もあったので、早期の治療を希望されたため、手術対応させて頂きました。

いわゆるハナペチャと言われる短頭種のため、念の為に麻酔科医の先生をお呼びして麻酔を実施して頂きました。

最初に右足の手術を行い、1ヵ月後に左足の手術を行いました。
片側ずつの手術を行うのか、両側同時に行うのかはそれぞれのメリットデメリットがありますが、今回は片側ずつ対応させていただく事になりました。

手術手技はいくつかありますが、一般的に実施されている内側支帯解放、滑車溝造溝、外側関節包縫縮、脛骨粗面転移術を実施して終了しました。
麻酔科医の先生のおかげで覚醒も順調であったため、日帰りの手術となりました。

経過は非常に順調で1ヵ月検診が終了して、脱臼も認められないことから運動制限を解除して、お散歩やトリミングなどが可能になりました。

次回は2ヵ月後に、右足の術後3ヵ月と左足の4ヵ月検診をして問題がなければ終了予定です。

MPLはありふれた疾患である分、いろんな通説や先生毎の経験則が出回り過ぎている印象を受けます。私の考えや経験が絶対に正しい訳ではありませんが、いずれにしてもMPLは専門家への相談が間違いないと思います。悩んだり不安を感じた場合には、専門病院(都内には3-4ヵ所あります)への受診をご検討下さい。

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