高齢犬の股関節脱臼に対する大腿骨頭骨頚部切除術

今回は高齢の股関節脱臼に対する大腿骨頭骨頚部切除術についてお話しさせて頂きます。

症例は15歳が間近のヨークシャーテリアの症例でした。

わずかな段差で左側股関節を脱臼してしまい、当院を紹介受診されました。

X線検査の結果、左側の大腿骨が背中側(背側)に脱臼していました。

オーナー様にはいくつかある治療法の中で、それぞれの治療法のメリットとデメリットをお伝えしました。相談の結果、大腿骨頭骨頚部切除術(FHNE)を実施することでご同意を頂きました。

FHNEは術後のリハビリが重要で、高齢の症例に対してどこまでの機能回復が得られるのか?

というところが問題点になりますが、体重も軽いことから、痛みの原因が除去できれば、ある程度の日常生活は可能になると判断して、この手術を選択しました。

高齢ということもありましたが、血液検査や聴診での異常も認められませんでした。

それでも麻酔でのリスクを少しでも軽減できればと考えて、麻酔科医の先生にお願いしたところ、快諾して頂き、麻酔をお願いすることができました。

麻酔科医の先生に麻酔をして頂くと、麻酔導入、手術中、麻酔覚醒と本当にスムーズに進行します。私も手術に集中して取り組むことができて、手術時間自体も短縮できています。

手術は切皮から閉創まで20分程度で終了しました。普段は手術時間を意識しませんが、今回は高齢のため、少し時間を意識して手術を行いました。

股関節は深い場所にあるため、切皮(皮膚を切る)の長さが長くなりがちですが、執刀医の工夫でかなり短い切皮で対応できるようになります。本症例は1.4kgの症例でしたが、切皮の長さは2.5cm程度でした。

術後1ヵ月が経過して、手術した脚も思っていた以上に使い始めており、何より痛みがなくなったことで、生活の質が上がったことにオーナー様も喜んでいらっしゃいました。

次回は術後3ヵ月検診を予定しており、そこで大きな問題がなければ検診は終了になります。

この記事が気に入ったら
いいねしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次