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ご無沙汰しております。
犬と猫の整形外科病院の赤木です。
今回は、大切な愛犬と暮らす飼い主の皆様に、ぜひ知っておいていただきたい「突然のケガ」について、注意喚起を込めてお話しさせていただきます。
動物病院であった、本当にヒヤリとしたお話
先日、治療後の経過も順調な、とてもお利口なワンちゃんが診察に来てくれました。 検査も無事に終わり、「さあ、飼い主さんの元へお返ししよう」と、看護師がワンちゃんを抱っこからそっと検査台に下ろした、その瞬間のことでした。
「キャン!」
突然、ワンちゃんが悲鳴をあげ、左の後ろ足を地面に着けなくなってしまったのです。 ほんの少し体を動かしただけなのに、いったい何が起きたのか? その様子から、私は「股関節が外れてしまった(脱臼)」可能性を疑いました。
飼い主様にご説明し、急いでレントゲンを撮る準備をしていると、飼い主様からこんなお話が。 「そういえば最近、家でも時々、同じ方の足を痛がることがありました…」
幸い、ワンちゃんの関節はすぐに元の位置に戻り、大事には至りませんでしたが、本当に冷や汗が出る出来事でした。
なぜ、こんなことが起こるの?
今回のケースのように、特別な原因が見当たらないのに、突然ケガをしてしまうことがあります。 実は、ワンちゃんの中には、もともと関節が緩かったり、骨格的に特定の部分に負担がかかりやすかったりする子がいます。
私たち獣医師や動物看護師は、常に細心の注意を払ってワンちゃんに接していますが、こうした「その子自身の要因」が重なると、ごく日常的な、何気ない動きが引き金となって、脱臼やヘルニアといったケガにつながってしまうことがあるのです。
これは、動物病院だけでなく、トリミングサロンやペットホテル、そしてもちろんご自宅でも起こりうることです。
特に注意してあげたい犬種
これまでの経験上、特に以下のような犬種では注意が必要だと感じています。
- トイ・プードル: 肩や股関節の脱臼
- ダックスフンド: 椎間板ヘルニア
- 柴犬、ポメラニアン: 股関節の脱臼
もちろん、これ以外の犬種でも起こる可能性は十分にあります。
飼い主さんへ、一番お伝えしたいこと
動物に携わるスタッフは皆、皆様の大切なご家族であるワンちゃんを傷つけようなどとは決して思っていません。常に最善の注意を払ってお預かりしています。
しかし、それでも100%防ぐことが難しい不慮の事故も、残念ながら存在します。
そこで、飼い主様にお願いしたいのは、「あれ?」と思ったら、どんな些細なことでも私たち専門家に教えてほしい、ということです。
- 「最近、なんだか歩き方がおかしいな」
- 「抱っこした時に、キャンと鳴いたことがある」
- 「時々、片足を上げていることがある」
今回のように、飼い主様からの「そういえば…」という一言が、隠れたリスクに気づくための非常に重要な手がかりになります。その情報があるだけで、私たちはより一層注意を払い、ケガを未然に防ぐための対策やお話をすることができます。
これからも、大切な愛犬の健康を一緒に守っていきましょう。 何か気になることがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。
